北斗七星

北斗七星 2003年5月26日付 Vol.991

2003/05/26 15:38

週刊BCN 2003年05月26日vol.991掲載

▼りそな【resona】ラテン語。「共鳴する、響きわたる」。悪い意味で、全国に響きわたってしまったりそなグループへの公的資金注入。竹中平蔵経済財政・金融担当相は、「公的資金の注入は2兆円程度になる」と語った。政府は1999年に大手銀行15行に対して約7兆5000億円もの公的資金注入を行なっている。そして今回の2兆円。もちろん、これはすべて税金である。

▼金融危機は絶対起こしてはならない。大手銀行が破綻すれば、それにともなう一般企業の倒産など、悪影響は計り知れないだろう。たとえ「預金は全額保護されます」といっても、不安が拡大して取り付け騒ぎでも起きようものなら、日本経済は未曾有の混乱に陥る可能性もある。今回の政府・日銀による迅速な対応は、一応評価できる。しかし、である。

▼一部の金融関係者の間では、次のような声があがっている。「これで、国は大手銀行を決してつぶさないことがはっきりした」。「実質国有化されても、なくなるよりはいい」。ちょっと待て。今、民間企業は血を吐くような努力をして、厳しい経済環境の中を生きている。それに対して、銀行はどこまで経営努力をしているのか。

▼個人医療負担が1割から3割に増えた。発泡酒も増税だ。タバコも増税による値上げ。その一方で、税金による銀行の救済。役員への高額な給与や退職金、依然なくならない貸し渋りや貸しはがし。これでは、国民の”共鳴”は到底得られない。
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