北斗七星

北斗七星 2003年5月12日付 Vol.989

2003/05/12 15:38

週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載

▼3月期決算が出そろいつつある。IT系のハードウェアメーカーでは、営業利益はおおむね回復基調にあるが、純利益は株価の低迷、あるいは外形標準課税の導入決定にともなう繰延税金資産の評価替などにより、赤字を続けざるを得なかったという傾向が浮かび上がる。家電系メーカーも同じような傾向にある。独り気を吐いているのが事務機系メーカーで、キヤノンやリコーが好決算を発表した。

▼IT系と事務機系メーカーを比較して、違いが大きく目立つのは輸出比率である。キヤノンやリコーは輸出比率が高い。輸出の好調さが国内の不振をカバーしているという構図が見える。輸出比率の高さ自体は家電メーカーも同じだが、家電業界の場合、成熟商品が多く、輸出力の高さが必ずしもメリットになっていない。

▼事務機業界の場合、MFPと呼ばれるデジタル複合機で世界をリードしていることも強さの背景にある。複写機の年間回転台数(国内)は70万台弱。台数規模で見るとかなり小さい。ただ、需要は手堅く、カラー化、高速化などの機能アップを価格に反映できる、つまり値上げができる数少ない商品となっている。値上げまでできるのは、その独自の流通構造にも原因がありそうだ。直販ディーラーが大手から中小零細企業までガッチリつかんでいる。IT業界、家電業界との最大の違いは、中小規模のエンドユーザーにも食い込んでいる点にある。今後このルートに関心を示す事務機以外のベンダーは増えていきそうだ。
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