旅の蜃気楼

懐かしい名前

2003/04/28 15:38

週刊BCN 2003年04月28日vol.988掲載

▼長いゴールデンウィークがやって来た。お出かけは海ですか、山ですか。それとも海外旅行ですか。いやはや、海外旅行はどうも薄気味悪いですね。美術館めぐりでも楽しみますか。東京には「弥生」という地名が2か所ある。その1つが、本郷にある。BCN編集部から東大のキャンパスに入り、東大病院を右手に見て、南から北へ裏門を突き抜けると、小さな美術館が2つある。右側が弥生美術館だ。おおい繁った樹木の中に建っている。いい感じである。静かに呼吸をしながら、竹久夢二の、あの物憂げなけだるい世界にどっぷり浸ってはいかがでしょうか。

▼名前には人の思いが詰まっている。例えば「弥生」。いい響きである。前号のキーパーソンを飾った平松康三さんが設立した会社名だ。新会社の母体となったインテュイットの商品名を社名にしたわけだ。その商品「弥生」の生みの親はインテュイットの母体の1つである日本マイコン創業者の小池隆彦さん。現在、ネットシステムズの社長だ。「東京に弥生という名前は2つあるんですよ」と、関西弁で、楽しげな顔で教えてくれたのはその昔の小池さんだ。

▼インテュイットの母体はもう1つある。ミルキーウェイだ。商品名は大番頭。創業は1980年1月28日、資本金200万円。創業の地は本郷3丁目。BCN編集部のすぐ近く。倫敦亭という喫茶店(カレーが美味しい)の2階。八畳一間、風呂は倉庫に使った。燃えるような情熱が今を形作っている。懐かしい吉井秀元さん(現在、ピクシス情報技術研究所社長)の名刺が出てきた。今が明日をつくる。(本郷発・笠間 直)
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