旅の蜃気楼

戦争とインターネット

2003/03/31 15:38

週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載

▼イラクへの戦闘が始まってから、CNNなどのテレビの報道機関だけでなく、大衆インフラのインターネットの世界もかまびすしい。湾岸戦争の時には、茶の間で、戦いの場を見た記憶は、今でも驚きとともに思い出す。今回はさらに驚くべき出来事が起こっている。勇ましい戦いのシーンをライブで、茶の間で見ることは同じだが、インターネットの中は様相が違う。CNNでは米英側の戦いの報道を一方的に見るだけだが、インターネットの中では、反戦メールをホワイトハウスの掲示板に送ろうという大衆世論の情報発信の場ができている。それも世界規模なのが驚異的な存在だ。

▼インターネット・インフラをもっている人は、誰もが自由にインターネットの中で情報発信ができる。発信者がブラインドの状態だけに、ライブとは違ったエネルギーを持っている。それはメディアの力と似ていて、出来事は1つなのに、報道メディアが10媒体だと10の力をもち、1000の媒体だと1000の力をもって、世論の渦をつくる。従来であれば、報道機関が一方的に状況を伝えていたのだが、インターネットでは誰もが自由にその場から状況を世界に伝えることができる。人類は、なんと不気味な力を手にしたんだろうか。

▼インターネットの世界では、アラブ側の報道機関アルジャジーラの映像報道が飛び交っている。ネットサーフィンして探さなくても、掲示板に貼ってある。もしくはチェーンメールとして手元にやってくる。明日の時代。デジカメが普及すると、銃弾に倒れた少年が最後に映した、銃を打った兵士の映像がインターネットの世界を飛び回る時代が来るであろう。イスラエルの政府検閲当局が自国のウェブサイトに向けて、イラク戦争に関する重要情報は掲載しないようにとの通達を出した、というメールも入った。ただし、未確認情報である。(本郷発・笠間 直)
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