クロのちょっとブレイク
<クロのちょっとブレイク>13(最終回) SEE-YA!
2003/03/31 15:26
週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載
公衆道徳は死語?と眉間にシワが入りまくり。そりゃ緊急の場合はしょうがないけれど、聞こえてくるのはどうでもいい話ばっかり。あぁ、何故こんな日本に…とお嘆きの方に今週の目撃ハプニングです。
体格のいい中年のおばさんが車両中響く声で、「だからさっ、そう言っただろうが。ナントカちゃんにもそう言ったんだよ。どーたらこーたら」携帯電話で喋っている。シルバーシートに荷物とバッグを並べて2人分。3駅以上の長話だからまわりはイヤーな顔。でも全く動じない。
すると若い男性が「ババア、うるせぇんだよ!」。
しかしこの言葉におばさんはキレました。
「何だいその言い方!躾が悪いねぇあんた。親の顔が見たいもんだ。頼むなら言い方ってのがあるだろうが。あやまれ!」ときた。
そして「あたしは財界に顔が利くから覚悟しな」だの「銀行が頭を下げるほどお金持」とかグダグダ絡む絡む。その若者はだんまりを決めて、その場も動かず読書開始。
と、目の前に座っていた上品な老女が一言。「いい加減にしなさい。貴方の電話もその態度も非常に迷惑です。青年もナンですが、貴方も皆さんにあやまるべきでしょう。恥ずかしいと思いなさい!」とピシャ。
あまりの凛々しい口調に唖然としたご本人。
「あ、あんたには関係ないだろ」と言うや否や「関係あります。そこは老人の席ですよ。貴方こそどんな躾をされたのですか?お立ちなさい!」
カッコいい。まるで映画のハイライト。嬉しくて「その通り!」と合いの手を入れつつ拍手したクロ。
すると観客、じゃなくて乗客たちからも大拍手です。「あんたたちも失礼だね!」と捨てぜりふで下車したおばさん。その後、何事もなかったように静かな日比谷線なのでした。
ってことで私のコラムは今回でおしまい。またどこかでネ。
SEE-YA!
[襟川クロ]
年間600本もの新作映画を制覇する元気印の映画パーソナリティ。BAY―FM「アクティブ・ウィークエンド」、COMING SOON TV「クロのムービーデリバリー」ほかに出演中。新聞、雑誌の連載から映画インタビュー、MCまでオールマイティにカバーする。
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