北斗七星

北斗七星 2003年3月24日付 Vol.983

2003/03/24 15:38

週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載

▼戦争が始まった。ブッシュ米大統領がいわゆる最後通告を突きつけた17日(米東部時間)から48時間後、まるできちんと決められたスケジュール通りとでもいわんばかりに、それは始まった。この戦争で、果たしてどれだけの人命が失われるのか。物的被害はどれほどのものになるのか。今後、中東地域は地政学的に不安定化するとの見方もある。戦争へ至る歯車は、誰も止めることができなかった。

▼米英の指導者は戦争を選択した。世論はどうか。米ワシントンポスト紙が17日夜に行った電話による世論調査によると、7割の米国人が対イラク攻撃を支持と答えている。イギリスでの世論調査でも、ブレア首相を支持する蕫戦争容認派﨟が半数を超えたという。「武力によるイラク制圧はしかたない」ということか。

▼今回の戦争は、国連の安全保障理事会の議決を経ない形での武力行使である。乱暴な言い方をすれば、「国連が認めなくても、やりたければやる」というものだ。しかも、それを行ったのは米国である。第二次世界大戦後の国際的枠組みを作るうえでアメリカが主導して作り上げた国連を、今、米国自身が反故にしてしまった。国連という世界秩序の番人を無視する形で、大国の思惑ひとつで軍事力が行使される。極めて悪しき前例を作ってしまったといわざるを得ない。国連の査察団による検証。安保理での議論につぐ議論。これらすべてが水泡に帰してしまった。結局、今までの努力は何だったのか。
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