Letters from the World

米ISPはBB化と無線化へ展開

2003/03/17 15:37

週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載

 無料ローカルダイアルアップとISP(インターネット接続業者)への月額20ドルによる無制限インターネットアクセス環境が、米国インターネット市場を立ち上げる原動力となったことは周知の事実だ。

 無料ローカルダイアルアップとISP(インターネット接続業者)への月額20ドルによる無制限インターネットアクセス環境が、米国インターネット市場を立ち上げる原動力となったことは周知の事実だ。定額有線型で立ち上がった米国ISP市場はその後、ブロードバンドおよび無線化へと多彩な展開を見せている。

 リコシェにより米国で一世を風靡した定額無線インターネットが、リコシェの倒産とその後の鈍い再起活動で既に影を潜める中、多くの米国携帯電話業者が定額無線インターネットサービスの提供を開始している。しかし、月100ドルのベリゾン、月64ドルのネクステル、従量課金制を採用するTモバイルなど、サービスの使い勝手は今ひとつの状態が続き、定額無線ISP市場の拡大曲線はこれまで横ばいを続けてきた。

 そんななか、スプリントが昨年から、試用期間を経て月10ドルによる定額無線インターネットアクセスサービスの提供に踏み切り、定額無線ISP市場をリードした。これは、それまでの停滞とアジア勢などの台頭により、既に市場の先導者から脱落していた米国を、再び世界の最先端へと位置づける記念すべき出来事だと言える。

 米国の携帯電話事業者の中でスプリントが唯一保有する全米を網羅するデジタル回線網を活用することで実現したこのサービスを利用し、全米のほぼ全域で携帯電話またはPCMCIA型電話カードから、平均64Kbpsのデータ通信速度で無線を介して無制限にインターネットへアクセスできる。

 全米の多くの携帯電話利用者がこのサービス欲しさに自分の携帯電話をスプリントへ切り替える動きが今後加速化するものと予想される。筆者も余力があれば是非ここでスプリントの株を購入しておきたいものだと思っている。DSL、光ファイバーによるISP市場の展開競争では世界に大きく遅れをとった米国だが、定額無線においてはその面目躍如といったところだろうか。(米サンノゼ発)
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