旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->24.ヨーロッパの旅 III-(1)スコットランド

2003/03/10 15:27

週刊BCN 2003年03月10日vol.981掲載

 1987年10月16日から24日にかけて、テレコム視察ツアーでスコットランドとスイスを旅行した。

 台風の接近で小雨の降る中を成田出発。12時間半でイギリスのヒースロー空港に着いた。現地時間で16時20分。出迎えたガイドが興奮気味に、昨夜から今朝にかけて百何十年ぶりの猛烈なハリケーンが襲来して大被害を受け、午前中は空港が閉鎖されていたという。台風の来る直前に成田を発ち、台風一過後青空のロンドンに着いたのだから幸運というほかはない。ロンドン市街は、16年前と余り変わっていなかった。翌朝、国内便でエジンバラに向かう。

 スコットランドは人口500万、イギリス連邦に属しているが独立国であり、人種・風俗・文化を異にする。起伏の少ない山野が広がっていて快晴の日が少なく気温も低い。われわれが見たのも雲が低く垂れ込めた荒涼たる景色で、一日の内に何度も天候が変わるいかにもスコットランドらしい数日を過ごした。イギリス発祥のゴルフやサッカー、ラグビーが晴雨に拘わらずプレーをするのも成程と理解できた。泥炭地層のために小麦も果物も作れず、作れるのは大麦とジャガイモぐらいで、見渡す限り牧草地であった。肉、チーズ、羊毛、毛皮、ウイスキー、毛織物が主産業である。この気候風土と食事が、彼らの強靱な意志と忍耐力を養ったと理解できた。

 豪壮堅固な山城エジンバラ城の眼下に広がる古都エジンバラはすべて石造りで、ロンドン以上に歴史を感じさせる。郊外にあるフォースブリッジは、フォース湾をまたぐ鉄道橋で全長2400メートル、1890年の完成でイギリス工業の傑作といわれている。堅牢優美な曲線の見事な景観は見るものを魅了する。その夜聞いた本場のバグパイプの音色と、タータンチェックの奏者の姿が印象深かった。
  • 1