Letters from the World

台湾で一般化する中国の家電

2003/03/03 15:37

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

 台湾は不景気だ。デフレ、失業率の増加など枚挙にいとまがない。その多くの理由が中国大陸の経済発展や国際競争力の増大、台湾産業の大陸移転などと大きな関連があることは明らかである。台北市近郊の五股工業区は1990年の初め頃は、IT産業のメッカとしてかなり栄えた。

 パソコン関連のメーカーが集積しており、海外のバイヤーがひっきりなしに訪れたものである。ところが、今や家具販売店、冷凍食品の倉庫などに様変わりした。工業団地は空き家が目立つ。そんななかで、基板やケースの最終組み立てラインを持ったEMS工場、中国語では代工工場と呼ばれる工場が多少は残っている。

 かつては海外への出荷を前提とするパソコンメーンボードやアドオンボードの類が多かったのだが、最近は中国から輸入した半完成品を組み立て、台湾国内市場へ送り出す形態に変化している。中国の家電製品は最近、品質も向上し、価格は言うまでもなく安く、台湾の製品を脅かす存在になった。

 しかし、メイドインチャイナでは、まだイメージが良くないらしい。ユニット単位で完成された半完成品を台湾で最終組み立てし、メイドインタイワンにすると、商品価値が上がるらしい。もうひとつ、台湾で製造するメリットとしては、輸入関税率の違いがある。 家電製品、たとえばDVDプレーヤーを完成品で輸入すると約20%かかるものが、部品で輸入すると数%ですむ、この違いは大きい。台湾の市場は巨大ではないにしろ、人口2000万を超す健全な市場がある。近い将来、多くの中国メーカーが台湾に進出して、自らの製品を製造販売することになるであろう。世界市場で、今よりもっと有名になるであろうTCL、ハイアールなどのブランドに対して、台湾の消費者はどのような反応を示すであろうか。

(台北発)
  • 1