Letters from the World

インターネット課税

2003/02/17 15:37

週刊BCN 2003年02月17日vol.978掲載

 インターネット上での商品購買市場がアマゾンなどの新興企業により確立されてからはや8年以上の歳月が経過した。一般市場に向けたインターネットの普及という名目で、その商取引を課税対象外とする政策がその当初から施行され続けてきた。インターネット商取引の規模が年を追うごとに拡大の一途を辿るに従い、実店舗による経営基盤にもとづいてその売り上げから消費税を納め続けている既存小売業者からの反発も次第に高まっていった。またネット商店と実店舗の小売業者との融合、協働などの作用でお互いの垣根も低くなりつつあった。

 米国の課税政策は、州単位に在州企業が在州民に対してのみ課税するという仕組みになっている。このため、シアトルで操業するアマゾンは、ワシントン州在民に対してのみ消費税を徴収しており、全米に支店を構えるウォルマートの場合は、ほぼ全消費者から消費税を徴収するという違いが浮き彫りになっている。また、米国における消費税徴収の実態は実に複雑怪奇となっており、同一州の中でもその構成単位となるカウンティー(日本で言うところの市)ごとに課税対象品目、およびそれらに対する課税税率が異なっている場合があるため、これらを一元的に管理するための費用負担や現実性への壁が、ネット商店が売り上げへの一律課税に反対する意見への説得力ある論拠ともなっていた。

 昨年11月に承認されたSSTP法(Streamlined Sales Tax Project)により、州ごとに一律の課税標準を確立することで、ネットを流れる資金からの税金徴収を実現するための枠組みが2006年までに確立される見通しとなり、また先週にはウォルマート、ターゲットなどの大手小売業者がネット販売分の売り上げに対する課税徴収の施行を了承したという動きも報告されている。規模が年々拡大しているネット経済への一部非課税状況に対する関心を高めているブッシュ政権は、手綱を緩めずにここへの課税を実現して行く構えのようだ。(米サンノゼ発)
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