クロのちょっとブレイク

<クロのちょっとブレイク>6 騎士アラゴルン

2003/02/10 15:26

週刊BCN 2003年02月10日vol.977掲載

 昔から“銀幕のスター”と呼ばれる通り、俳優はスクリーンで輝いてナンボがポイント。

 たとえ素顔が地味でも老けててもそんなことはどうでもいい…。というのが仕事面でのスタンス。

 でもね、来日ラッシュの昨今。日替りで海外の俳優たちの記者会見をお手伝いしたりインタビューで会ったりすると、どうしても画面とナマを比べっこ。

 今回はここだけの話って感じで聞き流して下さいませ。

 例えば世界中で大ヒット「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」でカッコいい騎士アラゴルンを演じたヴィーゴ・モーテンセンの場合。

 エー?! ほんとに彼なの?! の戸惑い視線が会見場に見え隠れ。

 男臭いオーラがムンムンだった役とは正反対のごくごく普通の静かなアメリカ人なのです。

 喜怒哀楽の表情も皆無。質問にたいして「……と思うけれど、違う意味ではこれこれカクカクしかじかで」といつまでも答えている。

 1回だけ「答えが長すぎて申しわけない。何を言おうとしたのか分からなくなったのでとりあえずここまでを訳してもらいます」と笑わせた。

 私たちもウケ狙いじゃないのを知ってるからマスコミも少しだけクスッ。

 日本語で“石油のために血はいらない!”と書かれたTシャツを見せながら…。

「これは自分で書きました。僕は俳優だし個人的な意見を言うのは好きじゃない。でも、アメリカのマスコミがあんまり映画の中での戦いと今の状況を重ねて報道しているから、それじゃ僕たちサイドのポリシーを確立させておかなければと思って。人間は誰でも反応する勇気がなければいけない。僕の意見に賛成でも反対でも、今、それぞれが考える必要があると思う」とキッパリ。

 戦争を憎む平和主義者にして家族を愛するヴィーゴ。

 勇者アラゴルンと彼がリンクした瞬間ね。ホッ。

[襟川クロ]
年間600本もの新作映画を制覇する元気印の映画パーソナリティ。BAY-FM「アクティブ・ウィークエンド」、COMING SOON TV「クロのムービーデリバリー」ほかに出演中。新聞、雑誌の連載から映画インタビュー、MCまでオールマイティにカバーする。
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