北斗七星

北斗七星 2003年2月3日付 Vol.976

2003/02/03 15:38

週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載

 6000億円超のIT投資促進税制が導入される。従来、IT投資に活用できる減税措置には、中小企業投資促進税制があったが、その恩恵を受けられるのは資本金1億円以下の中小に限られ、しかもソフトは適用対象外だった。今回、大企業を含むすべての企業で利用でき、ソフトも対象に入った。税額控除率、特別償却率も大幅に引き上げられ、資本金3億円以下の中小・中堅企業については、リース投資も税額控除の対象となった。需要不振に苦しむIT業界にとって久々の明るい話題だ。

 もっとも経済産業省では、「この税制は、IT業界そのものを救済するための措置ではない」と強調する。経済全体に及ぶ蕫有事﨟の緊急対策として、「短期的にはデフレ撲滅と景気浮揚効果。長期的には、将来の日本の活力につながる政策」と位置づけており、名目GDP換算で0・15%(0・74兆円)程度の増加を見込む。同省によると、IT投資は一般の設備投資(1・89)や公共投資(1・37)と比べ需要喚起効果が大きく(1・95)、短期的な景気浮揚が期待できるという。

 今回の減税措置は「IT業界のためではない」とはいえ、実質的に、強いフォローの風が業界に吹くことは間違いない。あとは、用意された蕫旬の素材﨟をいかに素早く、美味しく料理するかである。税制に関する小冊子やセミナーなどを通じ、需要喚起にどうつなげていくか。各社の腕の見せどころだ。新税制は、今の国会を通れば、今年1月に遡って適用されるだけに、むしろ「待ったなし」でもある。
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