北斗七星

北斗七星 2003年1月20日付 Vol.974

2003/01/20 15:38

週刊BCN 2003年01月20日vol.974掲載

 「システム設計のコンサルタントができるという人が、実際にシステム構築を行う段になると、SEができないと言い出す」――。このコメントの背景には、2つの異なるケースがあるという。

 第1は、ITを理解していないコンサルタントが、安易にシステム設計を行う場合に起こる。ユーザーの要望を安請け合いし、「できる」と答えてしまう。そのために、現実的に無理なシステムが設計される。第2のケースは、現場のSEが安易にできないと口にしてしまう場合に起こる。SEが実際にシステム構築を行っていく際に、苦労すれば達成できることでも、早々にあきらめて「できない」と答えるケースが少なくないのだという。

 官公庁のIT導入において、「設計と施工業者を分離することで、安値入札などの問題が解消される」と指摘されることが多い。しかし、冒頭に書いたような問題点を耳にすると、安易に設計と施工業者を分離するのも難しいと言わざるを得ない。同一業者が設計から施工までを一貫して担当しても、問題が起こっているのが実状で、異なる業者が設計、施工を担当したら、「あそこはできることもできないと言っている」と罪のなすりつけあいになりかねない。

 IT業界としては、今いち度ユーザーの立場に立ったシステム構築を行う姿勢が必要だ。自分たちの都合よりも、ユーザーの立場を優先し、透明性の高いシステム設計、施工を行う。いわばシステム構築の原点に戻ることが求められている。
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