クロのちょっとブレイク

<クロのちょっとブレイク>2 どうする4000枚

2003/01/13 15:26

週刊BCN 2003年01月13日vol.973掲載

 これまで“絶対に”という言葉を使う人は信じないし、自分でも“絶対”使わなかったのだけれど、気持ち的には1つだけ“絶対”と決めたことがあった。それは名刺。受け取った人は必ず驚くオリジナルです。

 A面は英語で書かれた名前と住所だけのよくあるタイプ。でもB面が普通じゃない。私の顔写真をもとにして、あるアーティストがペーパークラフトにしてくれた作品がある。それを接写。プラスそこに愛犬のイラストを自分で描いてもう一度ポジにして印刷した4重手間の傑作アート(?)なのです。カラフルなのに微妙にセピアがかっている。この色合いも何度チェックしたことか。

 何故そこまでこだわったのかというと、名刺交換後何か月か経って整理した時、「誰だっけ?」と顔を覚えてない。なら相手もきっとそうだろうと思い、顔入りを制作。生写真だとセールスマンみたいだし、これならプロフィールとしても使えるしね。

 で。構想1か月、校正2か月。日本の映画なら超大作が出来上がる期間です。印刷屋さんも腕を奮ってくれるし“絶対に引っ越さない!”と決意し、一生分の6000枚をオーダーした15年前。

 ところがです。郵便番号が7ケタになった時は慌てなかったものの、まさか住所が変わるとは!引っ越すとはユメユメ思いませんでしたね。やっぱり世の中に“絶対”はないんだと身をもって体験すると同時に、残りの4000枚をどうしようか真剣に悩んでます。電話番号は同じだから住所を線で消して手書きにしようか、新住所のシールを貼って「転居したばかりなので名刺を作ってなくて…とりあえずコレで」とか何とかごまかしながら10年はもつかなぁ…って、ケチだねぇ私も。

 そんなことより、この道25年という引っ越し業者に「こんな小物だらけの家は初めて!」とヒンシュクだった我が家。新居用家具は何も買ってないのでダンボール60箱分の小物たちが山積みです。

 中身? ツーショット写真にサイン、パンフレット、資料、サントラ、ビデオ、DVD、宣伝用の大小ぬいぐるみ、フィギュア…ぜーんぶ映画関連仕事(?)グッズ。それも、20ン年分。絶対に捨てないってば。

[襟川クロ]
年間600本もの新作映画を制覇する元気印の映画パーソナリティ。BAY―FM「アクティブ・ウィークエンド」、COMING SOON TV「クロのムービーデリバリー」ほかに出演中。新聞、雑誌の連載から映画インタビュー、MCまでオールマイティにカバーする。
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