Letters from the World

コムデックスを振り返って

2002/12/23 15:37

週刊BCN 2002年12月23日vol.971掲載

 米国で開催された世界最大、いや今では世界最大だったといった方が正しいコンピュータのショーにコムデックスがある。一時は20万人を超える人を集めた祭典だが、今年は出展社数も最高時の2500社から比べるとほぼ半分で、参加者に至っては10万人ぐらいとしか思えない程に落ちてしまった。コムデックスと言えば、各企業が来年に向けて力を入れる商品を発表する場であった。本来のコムデックス(COMDEX)は、「Computer Dealer Expo.」 の略で、メーカーと販売者の商談が目的だった。

 これが1980年代後半から、インターグループが集客を中心にしたお祭りとして色を変えてしまった。そしてバブルの最高潮の時、ソフトバンクがコムデックスを買収しのだ。ソフトバンクが買収した時点で、既にピークは過ぎていた。アップル、インテル、IBMなどが撤退。ソフトバンクに気を遣ったのか日本の企業だけが目立った。経営不振になったソフトバンクは、コムデックスをキースリーメディアという会社を作って依託、その株式を公開して資金確保を行った。しかし、ショー自体はただのお祭りになってしまっていた。

 そして昨年の9・11があって、日本からの出展が大幅に減った。今年、米国の大手メーカーはなく、日本からの大手出展も東芝とリコー。しかも、ショーの会場では製品の展示会。まったく本来の意味を忘れた集まりになってしまった。目立つのは、海外からの出展だけだ。台湾や中国、英国など、いろいろな国のブースが出ているが、販社が集まらない以上ビジネスの場にはならない。このような最悪の状況の中で、キースリーメディアが倒産、会社更生法の適応を申請するのでは、との噂が流れた。来年のコムデックスはもうないという話が米国でもされている。しかし、私はコムデックスが昔の姿に戻ることを信じたい。やはりビジネスのショーはビジネスができてこそ意味があるのだ。(米シアトル発)
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