旅-経営者の目線-
<旅-経営者の目線->19.上高地と飛騨の旅
2002/12/09 15:27
週刊BCN 2002年12月09日vol.969掲載
小京都山は、人形山車の山祭りと古い町並、それに朝市が有名だが、今回はそれ以上に得難いものを見た。高山陣屋の蔵で見せられた、大原騒動で死罪になった18歳の農民善九郎が新妻に送った、決別の遺言状の文面に強く心を打たれ、目頭が熱くなった。封建時代の武士の横暴と対照的に悲惨な農民の立場を想って、今昔の感を強くした。
萩町合掌集落は世界遺産に登録された白川郷の代表的な集落で、観光の名所になっている。しかし、大きな合掌造りの大家族制度の話を聞く中で、意外な実体を知った。雪深い限られた資源のなかで集落として生きていく為に、人口増を避けて長男だけが妻帯を許されて一家の主人となり、次男三男は一生労働者として家のために働くという。ここにも封建時代の悲惨な農民の生活があった。生まれながらにして極端に差別された社会と、努力すれば何でも手に入る現代との違い。不況とは言え、食べたいものを食べ、行きたいところに行ける、現代に生きる幸せを感謝したい。
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