ITテッなライフ
<ITテッなライフ>9.カトリーヌちゃん
2002/12/02 15:26
週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載
ある友人から、実は呪をかけたい人がいると告げられた。その相手は会社の70代の社長だという。会社には1人1台のパソコンが用意されているが、社長だけは絶対にパソコンを使わないという。
しかし、メールを代わりに打ったり、インターネットで探し物を頼まれることも多く、正直、それが面倒なので「呪をかけてやるぅ!」なワケである。
社長が大ファンの女優カトリーヌ・ドヌーヴから、カトリーヌ(さん、ちゃん、さま、くん)とパソコンに名付けることから、社長とパソコンを接近させてみることにしたらいかがかな? ということになった。
カトリーヌちゃん、と友人はことあるごとに社長の耳にタコができるほど、その名前を言い続けた。
「ほほう、わたしの好きな女優の名前ですね」と社長はパソコンの名前には関心を示したものの、キーボードに触れようともしない。しかし、友人はあきらめずに「カトリーヌちゃん」を続けた。
それから一週間後、社長の方から友人に話しかけてきた。「カトリーヌくんは、どこにスイッチがあるのか教えてくれるかい?」。
やったー!呪の効果だわ!と友人が小躍りしたのは言うまでもない。以後、社長は「カトリーヌくん」に少しずつ触れていき、今ではメールもバッチリできるようになったとか。
実は企んだの、と友人は言う。社長がパソコンにくじけそうになった時には、「カトリーヌはじめ、女はかまってもらえないと寂しいものよ。社長がんばって」と、真綿にくるむようにそれはそれは優しく励ましたという。
ううむ。これは呪の上級編といえるかもしれぬ。だって清明もこう語っていますもの。
「博雅、優しい言葉ほどよく効く呪はないぞ。相手が女ならばもっと効きめがあろうな」
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