Letters from the World

セマンティックウェブ

2002/11/18 15:37

週刊BCN 2002年11月18日vol.966掲載

 標準化団体であるOASIS(Organization for the Advance ment of Structured Information Standards)が、ウェブサービスのデータ安全化対策に向けたSAML(Security Assertion Mark up Language)「サミュエル」を承認した。これを受け、別の標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)会長が、セマンティックウェブ(semantic Web)とウェブサービスの今後についての見解を11月8日のインフォワールドへ寄せている。

 セマンティックウェブは、雑多な情報がただ無機質にあるだけの現在のウェブを、さまざまな意味のまとまりごとに仮想集合化し、より人間の感覚に近い情報検索を可能にするプロジェクトである。以前から各方面で研究が進められてきており、さまざまな研究成果が学術的に発表されている。W3C会長は、ウェブサービスの今後が、このプロジェクトの成就に大きな影響を与えていくだろうと説明している。ウェブサービスの標準化作業は、自己組織を記述するための基礎規約の制定を終え、現在は実装されるプロセスを記述するための言語規約の策定に入っている。

 BPEL4WS「ビーペルフォーダブルエス」、WSCI「ウィスキー」という規約候補が、マイクロソフトIBM連合、およびサン連合からそれぞれ提出されており、W3Cはこれらの提言を基に、統一的な言語規約の策定を進めて行くとしている。全体を一気に統合的に記述しようとする考え方が欧米的であるとすれば、直近の関心のために周囲のものを必要に応じて順次構造化して行くという考え方が日本的だと説明できるかもしれない。先物取引が江戸時代の大阪商人の手によって開発されたという史事は有名だが、その理論を展開する事でノーベル賞をつい最近受賞したのは欧米の研究者だった。知的財産の活用という言い古された言葉は、ウェブサービス市場の登場を目の前にして、今一度見つめなおしてよい文脈のひとつなのかも知れない。(米サンノゼ発)
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