Letters from the World

EAIとウェブサービス

2002/10/21 15:37

週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載

 いまだ低迷を続ける市況を活性化するための起爆剤として、各方面より熱い視線を集めているウェブサービスだが、処理速度の遅さとデータの安全性がいまだ未確立である。そこで、ウェブサービスが現在抱えるこれらの問題を乗り越え、即効性のある導入効果が得られる分野として、EAI(Enterprise Application Integration)市場に向けたウェブサービスの導入が米国で急激に拡大している。

 多くの企業はさまざまな種類のITシステムを既に個別に導入しているが、独立に分散して稼動するそれぞれのシステムを有機的に接続し、全体を統合化することによる利便性の向上を求める企業側の声が、以前より強く存在してきた。この要望に応えるための方策が多くのIT企業によりこれまで提案されてきたが、企業側の懸念する費用対効果や達成難易度を満足させる解決策は、いまだ確立されていない状況にあった。

 さまざまな方法論が乱立するこのEAI市場に、彗星のように現れた統合化技術の決定版として、ウェブサービスが位置づけられつつある。企業で運用するイントラネット空間にウェブサービス技術を展開する場合、その空間自体が社外に対するデータ安全性を保証しているために、ウェブサービス層がデータ安全性を考慮する必要は全くない。このために、標準化団体が現在進めているウェブサービスのデータ安全化規約制定の行方を一喜一憂することなく、システムの構築を進めることができる。

 また、報告処理やシステム間の動的オフライン情報交換処理など、実時間性を厳しく要求しない処理がシステム統合化を検討する際に多く存在するが、この部分に対してウェブサービス層を適用しても、処理能力がボトルネックとなる懸念はない。システム内各機能間インターフェイスの統一による、各機能の部品化、再利用化、更には外販化を推進するための具体的実装技術として、ウェブサービスの盛んな利用が既に米国では始まっている。(米サンノゼ発)
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