BCN FORUM

インターネット利用のウラオモテ

2002/09/30 15:27

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 インターネットが、企業の生産性を逆に低下させている――。EIM(従業員インターネット管理)ソリューションを提供する米ウェブセンスのジョン・キャリントンCEOはこう強調する。

 同社が行った調査によると、日本企業の従業員が、オンラインショッピングなどの業務以外のサイト閲覧に費やす時間は、1人あたり平均週96分。社員の生産性を考えれば、年間で約1兆6600億円の損失を生んでいるという。「日本は米国に比べて、この損失意識が薄い。このことを認識すれば、自ずとEIMの必要性が浸透するだろう」と日本市場の需要掘り起こしに意気込みを見せる。米国では、38%の企業がEIMを導入しているのに対し、日本ではわずか5%程度だという。

 EIMを導入すれば、インターネットアクセスに関する帯域やストレージコストの低減は見込めるだろう。しかし、インターネット利用の技術的な制限管理が、単純に従業員の生産性向上に直接つながるかは、いくぶん疑問が残る。逆に従業員の創造性低下という悪影響も招きかねない。企業と従業員の信頼関係にも少なからず歪みが生じるだろう。EIMを導入する前に重要な点は、単純な費用対効果ではなく、インターネット利用を制限するうえでのポリシー作りにあるのではないか。
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