▼デンマークのコペンハーゲン市裁判所で、深層リンクは違法とする判決が出た。深層リンクとは、トップページではなく、目的のページに直接リンクを張るものを指す。BCNのサイトで例えれば、「○月○日付のBCNの決算会見の記事」に直接リンクを張り、トップページを経由せずにこの記事を見ることができるようにする。インターネットでは見慣れた方式だ。

▼ところがこの深層リンク、予定していた経路を通らずにアクセスするユーザーが増えるため、トラフィック（情報流通量）設計、広告営業に多大な影響を及ぼすのだという。確かにその主張を聞けば、一理あると感じる。ただし、深層リンクはすべてダメとなれば、インターネットの利便性、自由度を著しく脅かすことになるのも間違いない。賛成すべきか、反対すべきか。意見が大きく割れるところだろう。

▼賛成、反対はともかく、ネットならではの特性が収益にマイナス影響を及ぼすという点で、深層リンクを巡る問題はネットビジネスを象徴している。ネットの特性を生かし、利用者の利便性を保ちながら、サイト側に収益をもたらす――。そんな都合のよい答えは望むだけ無理なのだろうか。ネットビジネスに携わる多くの人が、「何か方法があるはず」と広告以外の収益を得る方法を模索しながら、現在のところ決定的な答えは出てきていない。何かが犠牲にならなければインターネットで収益を上げるのは難しいようにも思えて、ちょっと絶望的な気分になる。