北斗七星
北斗七星 2002年7月15日付 Vol.949
2002/07/15 15:38
週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載
▼エンロン、ワールドコム、ゼロックス――。いま話題の会社だが、いったいアメリカはどうなるのだろう。架空利益の計上などできない、それがアメリカ的会計制度の良いところではなかったのか。ITバブルの崩壊で、巨額の資金がどこかに消えた。それでも大きな景気後退につながらなかったのは、この時に損をしたのが資本を出せるようなほんの一部の大金持ちだけだったからだろうと勝手に納得していた。
▼ベンチャーで成功するのは、アメリカでも1―3%といわれる。そうしたリスクを最初から承知しており、しかも余剰資金をもっている人間がベンチャーキャピタリストになっているわけだから、博打であぶく銭が消えたような感覚もあるのだろうと思っていた。しかし、今回の事態はもっと深刻である。電力、通信といえば、公共事業の最たるもの。アメリカではこうした分野も自由化を積極的に推し進めた。たとえば、ランジェリーショップが電話会社になるような事態が続いていたわけだ。そうした行き過ぎた自由化のなかで、企業モラルも崩壊していたことになる。
▼今回のケースに共通しているのは、儲けるためには何でもやるというレベルの話ではなく、経営者が成功報酬を自分たちの懐に入れるために架空の利益を出していたという、より悪質な行為である。アメリカ的グローバリゼーションが抱える本質的問題のひとつが表面化したのだろう。いまアメリカが不景気になると世界中が困ることも事実。頭が痛いことだ。
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