パソコンじたばた日記

<パソコンじたばた日記>第2回

2002/07/08 15:26

週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載

 元来がアナログタイプで、必要に迫られてパソコンに向かっている私のような人間にとって、家電量販店などのパソコンフロアは、興味や興奮よりも、ある種の緊張と恐怖を強いられ、さらに劣等感まであおられるという、まことに居心地の悪い空間である。

 2年前、自分が禁煙した途端に周囲のニコチン臭さに辟易し、中でも自分自身のパソコン内部から放出される「蓄積ニコチン臭」に耐えかねて、ついに新しいパソコンを買うことにした私は、渋々その空間に足を踏み入れることになった。

 「今、お使いの機種は分かりますか?」

 今すぐに新しいパソコンが欲しいと告げると、店の人は誠実そうに言ってくれた。だが、パソコン担当の店員というものは親切であれば親切であるほど、私のようなど素人に恐怖を与える。何しろ、言っていることがほとんど分からないのだ。

 「このタイプですと、○○が××ですから**が◇◇になってまして」

 「こちらは▲▲の容量が大きいわけですが、結果として※※が◎◎で――」

 といった具合。分からん、まるで。素直に「それは何ですか」と尋ねても、先方も困惑するばかり。または、そんなことも知らないヤツが1人でこの売り場に来るのか、という顔までされてしまう。結局、細かい説明を聞いても無駄なので、その当時は「コードレス」が主流になりつつあります、という説明を鵜呑みにして、私はキーボードもマウスもコードレスというタイプの、N社のパソコンを買うことにした。

 とにかくOA機器周りのコードの混雑ほど煩わしいものはない。だが、こんどはコードレス。これで少しでもすっきりするかと喜んだのだが――甘かった。以来、私はナゾのスクロールやナゾのミスタイプと戦い続けることになったのである。マウスやキーボードから発せられていない信号を、パソコンが勝手に読み込んでしまうのであった。もう、早く言ってよ!である。
  • 1