旅の蜃気楼
<e-Silkroad編 アジアのIT利用技術立国を目指せ>その19 インドのソフトパワー
2002/05/20 15:38
週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載
▼このところ、インドと中国のIT交流が積極的になっている。インドは世界のソフト生産拠点で、中国は世界のハード生産拠点というわけだ。両国の開発・生産技術を合わせると、世界のIT産業界で強力な連合軍ができる。その証拠に、アメリカのソフト産業の下支えはインドのソフトウェア技術者なくしては語れない状況だ。開発コストの安さだけでなく、開発技術力が信頼となっている。JETRO・バンガロールの横井勲さんから、インドのソフトウェア産業の最新情報が入った。その活躍ぶりを最新統計から紹介する。インドにもソフトウェア産業協会がある。National Association of Software and Companiesで、通常この協会を、「ナスコン(NASSCOM)」と呼ぶ。ウェブを立ち上げてhttp://www.nasscom.org/に行ってください。
▼NASSCOMのページでは、インドのソフトウェア産業の実態が掲載されている。2001年度(01年4月-02年3月)のインドのソフト輸出実績は、前年度比29%増と堅調だ。そのなかで注目すべきは、ドルベースでのソフト開発規模が同23%と全体の成長率と比べて低いこと。さらにドルベースでのソフト輸出をクローズアップすると、同16%と全体の成長と比べて、13%も低い結果となった。これは米国テロ事件(NY911)の影響と判断できる。翻って考えると、ドルベースの仕事は減ったが、ほかの国でのソフト受注が増えたことになる。いわゆる、インドのソフト開発技術力が世界の国々で評価されているということだ。そこで、インドは、日本、中国というアジアのIT先進国のソフト開発需要を取り込もうとしている。まさに、e-Silkroadの市場がインド・ソフト会社のおいしい市場となっているわけだ。
▼ソフトの輸出はインド全輸出の16.5%で、最大のシェアを誇る輸出産業だ。98年度のソフト輸出額(1ルピー=2.68円)は1094億ルピー(前年度比67%増)、99年度は1715億ルピー(同56%増)、00年度は2835億ルピー(同65%増)01年度3650億ルピー(同29%増)。まさに、インターネットの普及に成長曲線が沿っている。同協会のキラン・カルニック新会長は「今年度は、第3および第4四半期での受注回復を目指し、前年度並みの成長を維持できると楽観している」と語った。ソフト開発の手法は2種類だ。国外の客先に技術者を派遣して開発するオンサイトと、国内で開発するオフショアだ。インドでは、オフショアが70%。なにはともあれ百聞は一軒にしかず。ぜひe-Silkroadの端のバンガロールに出向いて、本場のインドカレーを食べてください。ナンとも美味しいです。(旅の蜃気楼 本郷発・BCN主幹奥田喜久男)
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