Letters from the World
ウェブサービスの変遷
2002/05/20 15:37
週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載
風が吹けば桶屋が儲かる。いまアメリカではある分野のIT業界が空前の好景気になっている。テロ事件以後自粛が続いていた映画産業がようやく活況を呈してきた。まずハリーポッターが興行収入の更新を続けたかと思えば、今度はスパイダーマンやスターウォーズと言った超大作が毎週末ごとにその記録を書き換える勢いである。近年の映画産業界の大作化傾向やCGを多用した製作手法は関係業界の成長にも大きく寄与している。とくに驚くべき進化を遂げる特殊効果の技術はハード/ソフト両面での開発費用の高騰をもたらし、また製作に携わる人々のギャラもうなぎ登りだという。残念ながら一般のパソコンユーザーがこれらの技術開発の恩恵を享受するまでにはやや時間がかかりそうだが、それでも画像処理という分野の先鋭化は多くの方面に影響を及ぼすことは言うまでもない。
現在一般向けのIT機器は携帯電話/モバイルを中心とした軽量化/小型化傾向にある。バッテリーや発熱など各方面に制限があり自由な設計が難しい。これに比べ映画産業用機材は、その大型化や高機能/高性能化、そして高価格化に歯止めがなく、ひたすら最先端を追い求めている。その為に開発に携わる技術者にも受けが良く、また先端技術として軍需などへの転売によって、将来の莫大な売り上げの可能性を秘めていることも見逃せない。ところが近年の映画産業には業界の内外から非難の声もある。漫画や小説など売れた原作の映像化か、過去のヒット作の第二弾第三弾ばかりで、きちんとしたオリジナルドラマの制作が減ったことが嘆かわしいというのである。確かにスターウォーズは既に5作目、ほかにもパート2や3と言ったタイトルには事欠かない。数字が増えるだけなのはまるでどこかのOSのようだ。双方ともに安直な選択が自身の業界への逆風にならなければよいが。(米ニューヨーク発)
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