北斗七星

北斗七星 2002年5月6日付 Vol.939

2002/05/06 15:38

週刊BCN 2002年05月06日vol.939掲載

▼みずほ銀行のシステムトラブル。IT業界に携わる者にとっては、まさに他人事ではない出来事である。ここでは、3つの視点から、今回の出来事を考えてみたい。第一は、システム自体の問題。コンピュータシステムは、人間の愚かさを映す鏡である。賢明な指導者の下に組まれたシステムは、優れたものとなる。しかし、愚鈍かつ混乱した意思決定かつ現場無視のディシジョンの下に設計されたシステムは、まさに人間の愚かさをそのまま具現化したシステムとなる。異なるシステムをつなぐという複数の金融機関相互のオンラインシステムではきわめて普通に行われているような作業に失敗した。まさに技術論以外の要因があったことを露呈していないだろうか。

▼第2点。現場の声は上層部に届いていたのか。システム変更では、統合までのスケジュールを組み、それに基づいて設計変更、テスト、修正、再テストなどを行っていく。ある程度の段階で、「これは無理だ」という見極めが現場レベルではできたのではないか。そのような重要な情報がトップにまで届いていなかった可能性がある。経営判断上マイナスになる情報があえて滞るような、組織の“動脈硬化”が起こっていなかったか。

▼3点目。金融機関の情報システム部門が傍流と見なされていなかったか。銀行の勘定系システムは、「なにがあってもトラブってはならない」と言われる。電気やガス、水道などのインフラと同じくらい重要だ。しかし、銀行のシステム部門は、営業などの部門に比べて重要度において一段低く見られているという声を耳にする。情報システムがバックエンド部門であるがゆえの、旧弊な営業至上主義である。結論。今回の事例から学ぶべきことは多い。
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