サンフランシスコは西海岸で最も美しい街と言われている。市街地はさほど大きくないが、見どころ一杯で、海鮮料理が安くおいしい。ロスやシアトルと並んで日本人にはとくに馴染の深い都市である。

　近くにシリコンバレーがあり、言わばIT企業発祥の地で、現在もアメリカ有数のIT企業の集積地である。私はこの時の訪問以来、ここの魅力に取りつかれてしまい、仕事を離れて観光の目的だけで、この後何回もここを訪れている。

　この街は登り下りに急な坂が多く、そこを名物のケーブルカーが路面電車として、3路線縦横に走っている。動く文化遺産と言われており、時代を超えた郷愁と物珍しさがあって、いつも観光客で混雑している。

　坂を北に下るとフィッシャーマンズワーフに行き当たる。サンフランシスコ湾に面していて、左右に広がる対岸の景色と湾内のアルカトラズ島を一望する眺めは素晴らしい（この島はアルカポネを収容した刑務所として有名）。波止場には、当時はまだ倉庫を改造した売店や海鮮レストランが立ち並んでいて、観光客で混んでいた。

　有名なゴールデンゲートは太平洋からサンフランシスコ湾に入る入口に架かっていて、全長約2.7キロ、1937年に竣工した。

　湾外で寒流と暖流がぶつかるので、ここは霧が多いので有名。渡辺はま子の『サンフランシスコのチャイナタウン』という唄の霧の一節を思い出しながら、目の前の小島に群れる野生のアシカたちを見つめていた。

　私はその後ここを訪れた時に、湾内の遊覧船から霧に煙るこの橋を遠くから眺めたことがあるが、何とも言えない風情があって、印象深いものがあった。