ここ最近、テレビや女性誌などで「プチ整形」という言葉を耳にする。

　「プチ整形」とは、メスを使わず、効果がハチャメチャに高いわけではないが、その分リスクも最小限に抑えた、いわば美容整形の簡易版、お手軽版のこと。

　例えば、鼻を高くしたり、あごをシャープに見せたい場合にヒアルロン酸やコラーゲンを注射により注入、眉間のシワ取りには筋肉に作用するボトックス（ボツリヌス毒素菌）をやはり注射注入、シミやシワ取りにはレーザー照射するなど、その内容はさまざま。

　だが、「プチ」とはいえ、ようは美容整形外科手術の一種。日本で美容整形というと、とても特殊なこととして認識されがちなのに、「プチ」という言葉がつくだけで随分イメージが変わり、ぐっと敷居が低くなるような気がする。言葉の魔術は恐ろしい。

　アメリカでは、日本に比べ、美容整形がより一般的だと聞く。以前、アメリカ在住の知人から、「人生をよりポジティブに考えるために整形することのなにが悪いんだ」と言われ、確かになぁと感じ入ったことがあった。日本では親からもらった顔を傷つけてはいけないという考え方が根強い。いずれにしても、「プチ整形」というネーミングを考え出し、日本の伝統的な価値観にまで影響を与えようとしているブームの仕掛人のクリエイティブ能力には敬意を表したい。

（アイスタイル取締役　アットコスメ主宰　山田メユミ http://www.cosme.net/）