北斗七星

北斗七星 2002年3月4日付 Vol.931

2002/03/04 15:38

▼「悪代官と疑惑の外務官僚」、「暗黒の履歴」、「地上最低議員の北方領土巨大利権」etc.。いやはや、もう国民総バッシング状態である。鈴木宗男代議士。マスコミにこの名前が出ない日はない。ことの発端は、1月に東京で開催されたアフガン支援国会議へのNGO参加について、「鈴木議員から外務省に対し、ある特定のNGOを参加させないようにとの圧力があった」とされる問題。これがあれよあれよという間に田中外相の更迭、小泉内閣の支持率低下、鈴木議員の証人喚問要求へと突き進む。

▼報道されている鈴木議員の行状が真実とすれば、国民から批判されるのは当然だろう。しかしちょっと待て。その前に、「なぜ、彼はそこまでの力をもつようになったのか」を考えてみるべきではないか。彼に一票を投じた有権者がいる。仕事について世話になろうと考えた人がいる。困ったときになんとかしてもらおうと考えた人がいる。在野の人ばかりではない。一部の外務官僚も、「鈴木先生に頼めば、ことがうまくすすむ」と、頼りにしていたという。まさにギブアンドテイクの関係が成立している。鈴木議員は、これまで再三指摘されてきた国会議員と利権の構造をそのまま踏襲していたに過ぎない。そしてその土壌は私たち国民のなかにある。

▼鈴木議員の後援会役員の一人はこう嘯いたという。「議員が地元に恩返しする。これのどこが悪い。地元企業への口利きなんて、どの議員もやっていること」。鈴木議員を批判することはたやすい。しかし、その前に、私たち自身の心の中に、この役員の意見に与する意識がないだろうか。「政治屋は次の選挙のことを考え、政治家は百年先の国を考える」。この言葉を今一度考える絶好の機会かもしれない。
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