旅の蜃気楼
<e-Silkroad編 アジアのIT利用技術立国を目指せ>その5 威風堂々の体躯
2002/02/04 15:38
週刊BCN 2002年02月04日vol.927掲載
▼最近のインドは賑やかだ。国会の乱射事件、パキスタンとの紛争。この戦いは、双方が原子爆弾をもっているから不気味だ。冷戦時代のミニチュア版だ。が、原子爆弾はミニチュアではないから世界の国からのけん制が必要だ。パキスタンの原子爆弾は同じイスラム教国で、米軍が駐屯しているサウジアラビアがイスラエルへの対抗のために資金援助している。そしてその原子爆弾で、インドをけん制している。インド・バンガロールは米国のITインフラのソフト開発を下支えしている。その米国はイスラエルと同じ、ユダヤ人が国家のインフラを司っている。今更だが、地球規模の経済生態系は、ぐるぐると循環している。しかし宗教の生態系は循環していない。ここに衝突が生じる原因を「五感」で感じ取ることができる。
▼インドとパキスタンの紛争は、ヒンズー教とイスラム教の戦いだ。多神教と唯一神教では接点がない。バンガロールの街中、至る所にシャーマニズム的な神様が祭ってある。お寺には、ガンガー(ガンジス川)の水を制御しているシヴァ神の大きな像がある。人々はシヴァ神の像の下の真っ暗な体内を巡る。善光寺みたいなものだ。また、会社に祭る神もいる。成功と幸福をもたらし、温和な現世利益をもたらすガネーシャ神だ。商売繁盛の神だ。日本の神社に似た鳥居の門をくぐり、その向こうに大きな石でできた、それも日本の神社にある「牛の神」の像がある――などなど。あまりの多神教に、目が回る。それらの神を飾る装飾の色彩と匂いは異文化だが、多神教は日本的で、類似性が多い。アラーの神を祈るモスクひとつのイスラム文化とは大差がある。
▼さて、バンガロールで出迎えてくれたのは、日本語学校とソフト会社を経営する日印ソフトウェア社長のシャンカラ・ナラヤナ・ギリさん(32才)だ。通称「ギリさん」と呼んでいる。日本語が実に堪能で、関西なまりだ。それには理由がある。大阪のソフト会社、エヌ・ディ・アールで5年間働き、同社の社長、永原隆嗣さんの肝いりで日印ソフトはできた。(本郷発・BCN主幹奥田喜久男)
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