BCN FORUM

日本企業の限界

2001/12/24 15:27

 東芝は先週、汎用DRAMの製造・販売からの撤退を決めた。米マイクロン・テクノロジーに主力の米工場を売却するとともに、四日市工場での汎用DRAM生産も中止する。

 1998年の富士通、沖電気工業に続き、日系企業としてはシェアで2番手につけていた東芝が市場から退出することになる。これにより、日系DRAM大手は、NEC、日立製作所、三菱電機の3社を残すのみとなった。

 岡村正社長は、「02年度には半導体事業の黒字化を目指す」と説明するものの、赤字を垂れ流してきたDRAM事業を放置してきたツケは大きいだろう。「これからはソフト・サービスの時代。当社は電力や製造業などに対し、そのノウハウで相当の蓄積がある」。こう岡村社長は語るが、その際どうしても引き合いに出されるのが米IBMだ。ルイス・ガースナー会長兼CEOは93年の就任直後から未曾有の人員削減を実施。経営の立て直しに成功した。

 翻って東芝は、今夏から2万人近い人員削減策を進めているが、IBMと比べれば小規模ではある。

 「IBMのような人員削減を日本で実施すれば、私なんか明日から外を歩けません」(岡村社長)。人から恨みを買うような人員削減は極力控えたい。そんな配慮が垣間見えるのが日本企業、東芝らしさであり、限界でもある。
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